「ありがとう」の魔法だろうか

もともと肌の弱い筆者だが、今年の夏は今までにないほどの肌荒れを起こしていた。

顔からふくらはぎまで全身に湿疹が出てしまい、かゆい。

 

しかも理由もなく気分が落ち切っており、医者に行く気力すらわかなかった。

 

仕方なく、毎日欠かさず化粧水を塗るというせめてものケアをしていた。

 

当然というべきか、全く治らない。

 

家事などで荒れやすいイメージの指先には、意外にもまったく湿疹が出ないことに気がついてわずかに感心する一幕もあった。

 

 

もうすでに他界されているが、心についての著書をたくさん残されている小林正観さんというひとがいた。

 

学生時代から数多くの人生相談を受けて、的確なアドバイスを残しており、また、「ありがとうとたくさん言うことと、掃除でいいことが起こる」といった開運メソッドを提唱していた。

 

うろ覚えだが、筆者が聞いたことのある正観さんのエピソードにこんなものがある。

 

からだの不調を訴える相談者に、あなたの知っている限りのからだの部位の名前を呼びながら、そのひとつずつにありがとう、といいなさい。と正観さんはアドバイスしたという。

 

 

聞いたことはあったが、実践してみたことは一度もなかった。

 

一見うさんくさいが、こういうものも一種の瞑想だろう。Google社員が瞑想をとりいれる時代だ。試して恥ずかしいことはない。

 

 

そういうわけで、やってみることにした。やり方は、風呂上がりに全身に化粧水を塗るときに、上記のエピソードにならって、知っている限りのからだの部位の名前を呼んでありがとうというのだ。

 

顔ありがとう、鼻ありがとうとかできるだけこまかく言う。肌のケアだが、脳ありがとうとか肋骨ありがとうとか思いつくだけ言いながら化粧水を塗っていく。

 

 

正直言って期待していなかったのだが、とにかく毎日続けた。

 

何日たったころのことか、人間の肌の質感とは思えない、と自分でドン引きしていた胸部が、普通のかわいたカサブタになっていることに気がつき、次第にそれも消えてまともな肌になった。

 

転んだのか、殴られたのかと人からしつこく聞かれて困っていた目の周りの荒れは、やけに長引いたが最近やっとなくなった。

 

いつのまにか、以前悩まされたように毎日あらゆる時間かゆいということがなくなった。

たまに寝しなに痒くなる時はあるが、布団に血がつくほどかき殴ってしまうことはもうなくなり、なんとなく数分後におさまる(その最中にはつらいのは確かだが)

 

 

自分でも「なにかほかに要因があって治ったんじゃないか」「放っておいても自然と治るやつだったんじゃないか」などと疑う気持ちはあるのだが、もしやめた途端にぶり返したらつらいので、いまでも風呂上がりにありがとうありがとうと言いながら化粧水を塗りたくる日々である。