猫がどかない

我が家は猫が1名いるのだが、どうも大変寒がりのようで、冬になってからというものものすごく膝に乗ってくる。

 

まだそれほど気温が低くなかった先週までは、小一時間もくつろげば気が済んだとばかりに膝からおりて行ったのだが、ここへきて気温が急激に下がった。

 

するとどうか。ずっと膝の上にいるのだ。こちらがちょっとばかり猫の重みがつらくなってきて姿勢を変えようが、撫でられ方が気に入らなかろうが、しがみついてどかない。

 

筆者の家は日当たりが悪く、造りも古いので暖房をつけていてもまだ寒い。

 

人間は厚着をしてしのげばいいものの、猫は持ち前の毛皮一つで戦わないといけないので確かにつらいだろうと無理に膝からおろすことはせず、できるだけ本猫の気が済むまでやらせているのだが、昨夜はついに日付けをまたいで深夜1時になってもまでごろんごろん喉を鳴らしながら膝の上でくつろいでいた。

 

猫は人間のもこもこフリースと体温に包まれていまや温泉のように全身がぬくもっているようだが、筆者は手足が冷え切ってきた。それに眠い。

 

しかたがないので風邪をひくのを覚悟で椅子に座ったまま一晩眠ろうかとも思ったが、部屋の電気がギンギンについているままで眠れない。

電気を消したくとも猫が乗っているので遠くのリモコンも壁のスイッチも届かない。

 

冷え切ったからだで眠さをこらえ、猫を抱き抱えたまま部屋のすみにうずくまっている。

 

いけない。これは遭難だ。自宅で遭難してしまっている。

 

危機意識に目覚めた筆者は猫がおろされたのに気がつかないほどのすみやかさでするりと猫を椅子におろし、折りたたみベッドをひっぱりだしてすぐさま布団にもぐりこんだ。

猫もすぐにかけ布団を一生懸命こじあけて、入り込んできた。

 

 

からくも遭難から生き延びた翌日の筆者はなぜかレベルアップをとげていて、猫を片手で抱き抱えながら歯磨きや片付けなどの作業をこなす技を身につけていた。