エディ・レッドメイン「アンダーテイカー 葬る男と4つの事件」 感想1

「アンダーテイカー 葬る男と4つの事件」という映画を見た。

 

JKローリングの「ファンタスティックビースト」で主役をつとめるエディ・レッドメインの2009年の作品である。

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エディは現在40歳だそうなので、この作品の撮影時は(どれくらいの撮影期間だったのかはわからないが)27か28歳くらいだと思うのだが、鍛えた体つきではあるものの(ヌードシーンが一部にある)華奢な印象でてっきり10代かと思って見ていた。

 

サムネイルの後ろに映る女性はお母さん役なのだろうな、と予想していたのに恋人役だったので驚いてしまった。検索したらそのジェシカ・ヒールは現在39歳とのことでエディより年下だった。

エディ・レッドメインが童顔なんである。

 

キャラクターがどんどん出てきて誰が主役なのか途中で自信がなくなってくるが、タイトルの「アンダーテイカー」が葬儀屋という意味なので葬儀屋役のエディが主役と思ってよいようだ。

 

とにかくこの映画がどんどんキャラクターが出てくる。そしてキャラクターたちが「そうはしないだろう」という行動ばかりとる。

おしゃれでインパクトのある画面が撮れればそれでいい、という感じの底の浅い映画であった。

 

ジェシカ・ヒール演じるストリッパーのローズはとにかくパリに行きたがっている。その理由はいっさいこちらにわからない。

そりゃパリに憧れる人は多いが(最初に言ってしまうが)ラストでパリに飛び立つほどなんだからなにか納得できる理由をくれてもいいじゃないか。

物語の冒頭でローズはスーツのロマンスグレーとのデート中に公衆電話で息子に電話をしようとする。おおあわての形相だが電話が壊れている。

知らない女性に携帯を借りてパニックという感じで電話をかける。

 

そうかこれはスリラー映画なのか、これから恐怖の展開がつづくんだなと思いきや話の内容はデート相手がパリに連れて行ってくれるとかなんとかどうでもいいことである。

ローズは恋人をつくりたくてあせっているようだがデート相手には結局ふられてしまう。

 

ローズはシングルマザー。きれいな金髪の幼い息子は病院でずっと寝たきりである。

ローズは息子が心配で毎日病院に電話している。ならなにをのんきにデートなんてしてるのだ、あまつさえ男を家にひっぱりこもうとしていたがその時間に面会に行ったほうがいいんじゃないか。

 

息子は寝たきりなので電話ではローズが一方的にへんな話をすることしかできないのである。面会に行ったほうが息子の状態がよくわかっていいはずだ。

やることが変なんである。

 

ローズの最大の関心事は難病の息子のことか、と思いきや今度はアパートの規約を破って無理やり飼っている犬が脱走してしまい半狂乱で探し回る。

 

ついていないことは重なるものだ、というのはわかるが映画内ではローズの物語に並行して性転換手術費のために売春している美しきトランスジェンダー女性や、自分を銃で撃って殺してくれる人を探し求める黒人男性、25年刑務所ですごし最近出所したが末期の癌で寿命わずかのローズの父ジャック、死んだ父の残した葬儀屋をついだが金策にあえいでおりモテないことが悩みでたまたま夜道でひいてしまった犬の看病をしている主人公クワーティ(エディ)といちいち要素の多い登場人物の物語が並行して描かれているのである。

 

どれか整理したほうがいいと思う。

 

ローズのストリップショーは美しいダンスである。そのローズのストリップを涙目で見ているまつげがものすごく長いおじさんは実はローズの父であった。

ローズは母から父は船の事故で亡くなったと聞かされ信じ込んでいたが、実は父は25年間刑務所に入っていた。理由は映画内であかされることはない。

本人のクヨクヨしている様子からなにかの冤罪だったのか?と見ているこっちは気になるのだが謎のままである。

 

25年の刑と言ったらほんとうに犯罪を犯していたとしたらそこそこの悪事をしていることになるだろうから、いくらクヨクヨされても同情するわけにもいかない。さっさとはっきりさせればどうかということをこの映画ではもったいぶり続ける。

 

ローズ父は娘の姿見たさにストリップショーに通い続ける。裏メニューの高い売春コースにまで来る。(ローズは売春だけは拒絶していたが、オーナーに一回1000ドル稼げるんだぞ、やらなきゃクビだ、とどやされ泣く泣く受け入れる)

 

もちろんいやらしい気持ちではなくただ謎めいたままローズと話したがるだけなのだが、それにしてももっと親子で会うのにふさわしいシチュエーションはほかにあるのではないか。

 

この父はおもちゃ屋で息子のためのおもちゃを万引きし、店の人に怒られているローズを庇いに飛び出してきたりとずっとローズをつけているのである。

店以外でいくらでも会えるはずだ。

 

 

父が変にもったいぶりながら自分がローズの父だと匂わせる会話をした時、ローズは怒り狂ってSPに父を売春部屋から摘み出させる。

 

ローズは物語の要所要所で理不尽なキレ方をするのだが、このシーンに関しては(ローズ母が父に対してどんな感情をもっていたのか、ローズは会えない父についてどう思っていたのか描かれていないため)父親が自分のストリップを見ていたり、父と売春するために必死でセクシーに振る舞っていたと判明したことが気持ち悪かったのではないかと冗談めかしたくなる。

 

追い出す前に25年も刑務所に入っていた理由について聞きたくならないのだろうか。

 

ファンタスティックビーストの魔法動物たちがかわいく描かれたノート。