「るきさん」 高野文子

出世には縁がない。恋愛も出産も結婚も興味はない。豪遊したいわけじゃない。

 

背伸びせずに能力内の仕事をしていれば貯金できるくらいのお金がもらえて、趣味を楽しむ時間がたっぷりあって、いやなつきあいをせずに淡々とひとりで二間くらいあるアパートかなにかで一生暮らしていけるなら、それでじゅうぶんしあわせかも。というかそれが理想かも。

 

ドラマの起きない女ひとりの暮らしが理想、そんなふうに思うあなたにおすすめの一冊をご紹介します。

 

f:id:x203c:20210204113958j:plain

るきさん」って?

 

るきさん」はバブル時代の「Hanako」という雑誌で掲載されていたオールカラーで毎回2ページ の漫画です。

 

主人公のるきさんは畳敷のアパートで一人暮らしの在宅ワーカー。医療事務のお仕事をしていますが、薬価計算が得意で一週間で1ヶ月分の仕事をすませてしまいます。

 

作中で年齢は明かされていませんが、白髪がよく出ることや「なんかするとすぐひざにきちゃう」という台詞から30代半ば以上ではないかと思われます。

 

好景気の時代にあってもるきさんの趣味は図書館で本を借りて読むこと、おしゃれには興味がなしと質素に暮らしています。

ではお金がないのがというとそうではなく「お金が好きだから使わずに置いとくの」とせっせと定期預金にはげんでいます。

 

在宅ワーカーで一人暮らし、動かない暮らしだからすぐ膝に来ちゃうるきさんですが、内気で孤独な暮らしなどではなくしょっちゅう互いの家を行き来しているなかよしのえっちゃんとの交流をはじめとして、雇われ先の病院のクリスマスパーティーで楽しんだり、時には図書館で知らない子供に注意したりとどんな場でも物おじしない世馴れた自然体の暮らしをしています。

 

おかしな空想癖があって空想が現実の上書きをしちゃうところや、おしとやかでか弱そうに見られがちだが意外と力持ちでガサツである、というところなど、「一見大人しそうで目立たない女友達」がいるひとや「我こそはソレなり」という女性は「ああこの感じわかるな…」と三点リーダーをつけて呟きたくなるのではないでしょうか。

 

 

 

にじゅうかいじょうのその他の書籍関連の記事

#チーズの薄い本 が届きました - にじゅうかいじょうブログ